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臨時緊急コラム:
コムスンだけが悪者で終われるのか

テレビドラマの水戸黄門を観ているかのような結末を迎えようとしているコムスンの一連の事件。

厚生労働省老健局長が強権を発してから、コムスンの介護事業の売却先はグループ外の企業になるようだ。 そして、グッドウイルグループ(GWG)の折口会長がテレビ各局にお詫び行脚し、行く先々で袋叩きにあっていた。

早朝のテレビのワイドショー番組のコメンテーターはほとんどが、介護保険制度をよく知らないにもかかわらず、 「ベンツやフェラーリに乗っているような奴が介護事業をやるべきでない」とか、 「田園調布に住んで、軽井沢に別荘をもっているような人に高齢者介護がわかるのか」、 「ジュリアナで有名になったような人が福祉事業に手を出すのはよくない」と言った、 感情むき出しの非難、批判の嵐が吹き荒れていた。

しかし、よくよく考えてみれば、ベンツに乗って田園調布に住んでいることなどは、 今回の事件に直接、全く関係ないのではないだろうか。 非難の矛先がGWGの折口会長に集中すればするほど、今回の問題の本質が見えなくなるように思えてならない。

無責任なコメンテーターの発言で、すべては折口会長が悪いという結論に向かってしまい、 視聴者も水戸黄門が悪代官をやっつけたところで胸がすっきりする。本質が語られないまま、一件落着では再発防止にもならない。

コムスンだけでなく、他の大手介護会社も不正請求があったが、指定取り消しには至らなかった。何故かと言えば、「悪質」と認定されなかったからである。

しかし、第三者から見れば、コムスンもその他大手介護会社も不正請求に関しては、五十歩百歩、同じ穴のムジナなのである。

介護給付の不正請求は故意であるなしにかかわらず、違法行為だ。 それなのに、一方は罰則の対象となり、事業の売却、譲渡、そして、介護事業からの完全撤退となるかもしれない。

GWGへの介護事業売却の打診は20数社からあったそうだが、 その中には、社内調査で不正請求の事実がわかり保険者に自主返還を求められている介護会社もある。

介護事業者にしてみれば、質の高いサービスを提供しても、 粗悪なサービスを提供しても得られる給付額は同じならば、 積極的にサービスの質を高める努力をしない方が得だということになる。

コムスンが、サービスの質に関してどれほどの経営努力を試みたかは定かではない。 言えることは、テレビCMのイメージと現実が大きく乖離していたことは間違いないだろう。

介護給付費の請求業務は、それだけ簡単に不正請求ができるような仕組みなのか、 残念ながらそう言わざるを得ない。

過去にも医療保険の給付請求でも同じようなことがあったにもかかわらず、 同じような仕組みで始まった介護保険制度。

その制度の不備は以前から指摘されているが、それを棚に上げて違反だけを取り締まる当局の体質では、 介護サービスを利用する要介護者の方々にとって、 介護保険制度自体が安心して安全な介護サービスを受けられるように機能するとは考えられない。

欠陥だらけの法律や不備を修正されない制度に対する苦情、 クレームは、一体どこで受け付けてくれるのだろうか。

老後に不安を覚える介護保険制度と年金問題が解決し、あるべき姿にならない限り、 「美しい国、日本」など夢のまた夢ではないか。

2007年6月14日掲載

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