さて、この3つの行為は、一連の流れとしてつながりがあることはよく理解されているところです。 一般的に、相手の『説明』が不十分だったり、分かりにくかったりしたら、『同意』はしません。『同意』が得られなければ、『交付』も出来ません。
しかし、『説明』が不十分だったり、場合によっては『説明』を全くしなくても、『同意』の証になる記名、捺印があり、『交付』されていることはないのでしょうか。
ある居宅介護支援事業所の管理者は、こんなことも言っていました。
「利用者や家族に契約書の難しい内容を説明しても、『よくわからない』と言われてしまい、『どこにハンコを押せばいいの?』と言われ、説明しないこともあります。」
記名、捺印があれば、利用者が『同意』したことになりますが、『説明』はしていない状態で、サービス提供が開始されます。 もちろん、ケアプランに位置付けた介護サービスが複数あれば、それぞれの契約が必要ですから、重要事項説明書、契約書、サービス計画書の『説明』、『同意』、『交付』という儀式が何回もあるわけです。
『説明』しないことは、問題だという認識はないわけではないでしょう。わかっているけれど、利用者が説明しなくてもいいと言ったから、やらないだけです。
その問題とは、『説明』しないことによる説明力の停滞です。 簡単に言えば、説明力が向上していないのです。 向上しないだけではなく改善もしません。 すでにその人なりの説明の形が出来上がっていて、その説明の仕方がワンパターン化していなだろうかと思い当たる人によく出会います。
利用者に難しい文書だと言われて、どうしたら利用者にわかりやすく説明できるだろうかと考えないのでしょうか。 難しい文書を言語化し、さらに分かりやすく翻訳する力を備えるには、訓練するしかありません。 訓練しなければ、この先もずっと今のままの説明力で停滞し、制度改正などがあるたびに、その程度の説明力は後退していくかも知れません。
重要事項説明書をただ棒読みしているというようなことはないと思いたいのですが、サービスの品質を支える説明力をもっと強化してほしいと願います。
2019年1月26日掲載
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