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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

訪問調査でわかる介護事業所のサービスの質の二極分化

介護サービス情報の公表」制度の主任調査員を務めて10年になります。 この間、年に30から40件の調査に係わりましたので、300から400近い介護事業所や介護施設を訪問したことになります。 調査に際して多くの管理者や施設長(事務長)、ホーム長といった調査に対応する責任者の方々に面談しました。

神奈川県の「介護サービス情報の公表」制度で実施する調査では、介護事業者が公表しようとする介護サービス情報の項目に沿って、調査員が確認しますが、2時間から3時間以上になることもあります。 この間、管理者や施設長などの責任者の方と調査上必要な会話を交わします。 その受け答えを通して、事業所や施設などのサービス提供状況の一端が窺えます。

特に運営情報に関する調査項目は、居宅介護支援の55項目から施設系の100項目以上になるサービスもあり、 丁寧に確認すると、1項目1分としても100分、これに基本情報項目の確認に要する時間を加えると2時間以上になります。 しかし、確認すべき資料等の準備が不十分で、調査時に記録類、資料等を探されるとその時間が余分にかかってしまい、3時間以上になることもあります。

さて、この調査で介護事業所や介護施設の対応が大きく2つに分かれます。

一つは、「前回の調査員は、そんなに細かく確認していませんでした。前回はこの記録書でよいと言われたのに、今回はダメというのは納得がいかない。」などと不満を漏らす管理者がいます。 調査員は、その記録書ではダメな理由を丁寧に説明します。 「前回の調査を担当した調査員は、調査票記入マニュアルを十分に理解していなかったために、本来、認められない内容の記録書を問題なしと判断してしまったので、 結果的に今回はこの項目が求めている要件を満たしていないという結果になります。」と言うと、漸く渋々納得されることがあります。

ところが、一方別の介護事業所では同じような説明をした時に、 管理者や施設長が、「そういうことでしたか。我々事業者側の認識不足や調査票記入マニュアルの理解が不十分だったようですので、今後、徹底して改善してまいります。 ご説明がわかりやすく、参考になりました。」と言って、メモを取っていたりすると、この調査を事業運営の改善に活用しようとする意欲を感じます。

「介護サービス情報の公表」制度の調査に係わってきて、介護事業所や介護施設のサービスの質における二極分化が徐々に進行していると感じています。 その指標となる調査項目を3つほど挙げておきます。

1.「相談・苦情等対応に関する記録がある」

相談や苦情を受け付けて、これに速やかに対応した記録が年間にどの程度あるのでしょうか。 「全くにありません。うちの事業所では利用者からの苦情がないので、記録はありません。」と、笑顔で答える管理者がいますが、何か大きな勘違いをしているようです。 苦情が一つもないことが素晴らしい事業所だと思い込んでいるようですが、そうではありません。 そもそも要介護高齢者を対象とした介護サービスを提供しているのであれば、苦情や相談は必ずあるという前提でこの制度が設計されています。 利用者から相談や苦情を受け付けたら、できるだけ早く利用者や家族が納得する対応をして、 解決策を提示しているかどうか、改善した結果を懇切丁寧に説明しているかどうかを確認しているのが、この項目です。

この項目を「なし」にしている事業所は、相談や苦情に対応していたとしても記録がないので、対応方法や解決のための改善策をどのように進めているかが全く分かりません。 それが大きな問題だということに気付いていないようです。

しかし、最近では、相談、苦情の発生から解決までの経緯を詳細に記録している事業所も見受けられるようになってきました。 これができているとできていないとではその差はどんどん大きくなると言えます。

2.「経営改善のための会議において、利用者の意向、満足度等について検討された記録がある」

利用者やその家族に定期的にアンケート調査を行って、利用者のサービスに対する満足度や意向をまとめて、 分析している事業所はまだまだ少ないですが、その分析結果を経営改善のために活用している事業所はさらに少なく、全体の10%にも満たないと言えます。

なぜ、できないかと言えば、やり方がわからないからやらない、アンケート調査は実施したが、そのままになっていて分析もしていないというのが現状です。

これを確実に実行し定期的に経営改善会議(業務改善会議など)を開催し、継続的な改善の仕組みができれば、サービスの質は向上します。 少数ですが、実施している介護事業所のサービス提供記録書を拝見するとよくわかります。

3.「自ら提供する当該サービスの質についての自己評価の実施記録がある」

運営基準には、以下のように定められています。訪問介護を例に見てみましょう。

第22条(指定訪問介護の基本取扱方針)
指定訪問介護は、利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、その目標を設定し、計画的に行われなければならない。
2 指定訪問介護事業者は、自らその提供する指定訪問介護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。

第二項(下線部分)が、事業所に自己評価を行うことを求めている根拠となりますが、あまり知られていないようです。 従って、全く行っていないか、やり方がわからないので実施していないのが現状です。

それでも、やらなければならないことは理解しているので、「取りあえず」やっているという事業所でも自己評価のやり方や項目に幅があります。 例えば、「運営基準通り運営されているので、特に問題がありません。」などという簡単な一行の文章で自己評価として済ませている事業所もあります。

また、最近は少なくなりましたが、「自己評価」と聞いて事業所の従業者個々の自己評価表を提示されることがあります。それは全くの勘違いか管理者の思い込みによるものです。

事業所が提供したサービス等に関する自己評価の実施記録とは、 実施した日付及び事業所の運営、人事労務管理、サービスの利用手続きや内容、リスクマネジメント等、事業全般についての評価結果が記載されているものです。

以上の三点を確実に実施している事業所はまだ少ないとはいえ、徐々に気付いてやり始めている事業所も見受けられます。 このまま今まで通りの事業運営を続けていくか、積極的に継続的な改善の仕組みを作り上げていくかによって、 介護事業所、介護施設のサービスの質における二極分化が進んでいくと考えられます。

2016年9月2日掲載

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