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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

接遇マナー研修はなぜ見直しが必要か

介護現場で頻繁に行われる「接遇マナー」研修はどういう目的で実施されているのでしょうか。

どのような業種・業態でも顧客への対応を重視しているからこそ、「接客マナー」や「顧客対応技術」などをテーマにした研修を行っています。

介護現場では、なぜか「接遇マナー」という表現が圧倒的に多く使われますが、 介護保険サービスをサービス業と捉えるならば、「接客マナー」とか「顧客対応マニュアル」がよいのではないかと思います。

あえて言うなら、介護保険サービスの対象者を利用者と呼んでいるので、「お客様」ではなく利用者だから、接遇となるのでしょうか。

さて、介護保険サービスは、その利用者が高齢者であることは言うまでもありませんが、 サービスを提供する介護職員よりも、サービスを利用する要介護高齢者の方がはるかに年齢も上だし、 人生の様々な経験を重ねてきた、いわば「人生の先輩」でもあります。

そうなると、「接遇マナー」研修は、他の業種とは違い、高齢者が納得できる接し方が求められます。 具体的には、「言葉遣い」や「礼儀作法」、「お辞儀の仕方」や「挨拶の仕方」などは当然、介護職員が身に着けるべき項目だと言えます。

「言葉遣い」は、敬語や謙譲語の使い方、「礼儀作法」は居室への入退出の仕方、「お辞儀の仕方」は、 どのようなときにどのようなお辞儀が必要なのか、「挨拶の仕方」には、日常的に朝の挨拶、昼間の挨拶、 夕刻や夜の挨拶に一言二言を添える言葉など、一つ一つの意味合いも理解しておく必要があります。

しかし、実際に介護現場で行われている「接遇マナー」研修では、 例えば、敬語や謙譲語で利用者に接するのはなぜか、受講する介護職員に考えさせるようにしていないことがよくあります。 敬語や謙譲語の使い方を教えることに終始している研修は何回実施しても、その効果は期待するほどではないような気がします。 もっといえば、日常的に職場内で敬語や謙譲語、丁寧語が使われているかどうかによって、職場の風土も大きく異なります。 職場の上司に対する部下の言葉遣いが正しく行われていることはとても重要なのです。

仮に尊敬も信頼もできない上司に対し、表面的にしか使われない敬語には、 年長者への敬意を込めた言葉ではないので、利用者にも同様の接し方になってしまうだろうと考えられます。

さらに、介護現場のリーダー、管理者、施設長たちが日々の利用者への接し方が、介護職員の手本になっているならば、 「接遇マナー」研修の実施もある程度の効果があるのではないでしょう。

「お辞儀の仕方」については、やはり介護職員にその種類と意味が十分に理解されていないようです。 その一因は、介護現場のリーダーも管理者や施設長も理解していないからです。 それはなぜだろうか。介護や福祉の仕事しか経験してこなかった人たちが多く、介護保険制度以前の措置制度の下で介護や福祉の仕事に携わっていたので、 利用者をお客様として捉える習慣がなかったからでもあります。 そもそも、行政主導で施しの福祉サービスを提供していたから、「挨拶の仕方」なども重視されてない傾向がありました。 一般企業の新入社員研修では、徹底的に叩き込まれる「挨拶の仕方」や「言葉遣い」、ビジネスマナーなどが、介護職員にはほとんどなかったのです。

しかし、これからの要介護高齢者はいわゆる団塊の世代であり、かつての企業戦士でもあります。

ビジネスマナーも「挨拶の仕方」や「言葉遣い」にも人一倍厳しい視線を注ぐだろうと思われます。 そうなれば、今まで介護現場で行われてきた「接遇マナー」研修では、不十分であることは火を見るよりも明らかです。 単に要介護高齢者として対応してきたこれまでの「接遇マナー」研修を見直す機会は今ではないでしょうか。

2016年8月15日掲載

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