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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

サッカー日本代表チームに見られる高度な社会的感受性を介護現場に

7月18日にサッカー女子ワールドカップドイツ大会で劇的な優勝を果たした「なでしこジャパン」は、 体力的に優るアメリカ代表チームに早いパス回しと各メンバーの位置取り(ポジショニング)の上手さで、 90分戦い引き分け、ペナルティキック(PK)戦に持ち込みました。 アメリカは心理的に日本に勝って当たり前というプレッシャーがあり、過去に一度も負けていないという無意識の驕りがあったかも知れません。

前評判を覆しPK戦で勝利した「なでしこジャパン」のサッカーは、 キャプテン澤選手を中心にパスを繋ぐ動きの速い攻撃が目立ちました。 延長戦後半で澤選手が決めたコーナーキックからの右足アウトサイドキックのシュートは、 日頃から練習していたそうです。 身長差では負けてしまうので、ヘッディングで競り合うことを避け、 コーナーキックの時は瞬時に前に出て(ニアーポスト)で低いボールを受ける練習を繰り返していたと聞きます。 これが見事な同点ゴールをたたき出したのです。

「なでしこジャパン」に大いに刺激を受けたのか、男子の日本代表がキリンカップで韓国に3-0で圧勝した試合も、 精度の高いパスをダイレクトで繋ぐことで相手の動きを封じるサッカーが出来ました。 精密機械のような正確なパスが繋がるのは、メンバー全員が同じイメージを共有しているからだと言われています。 それはどういうことかと言えば、感じ取る力が同じであるということになります。 ボールを保持した味方選手が次にどう動くかを予測して動き出す。 それが瞬時に判断できる力です。 勿論、失敗はありますが、その失敗から得た情報をもとに修正し、精度を高める努力を繰り返しているのでしょう。 それは代表選手の限られた練習機会や監督の指示などにより、日本独特の組織的なサッカーに変貌しつつあります。 1998年ワールドカップフランス大会当時の日本代表チームとは比べるまでもなく確実に進化しています。

メンバー全員が同じイメージを共有するためには、「社会的感受性」を磨くことが必要だと、脳科学者の茂木健一郎氏が言っています。 氏の説によれば、組織のメンバー同士が互いに今何を考えているかを察知する力を「社会的感受性」と定義しています。 その察知する力が高まると、ボールを保持した味方選手が次に誰にボールをパスし、 その次の次までの展開イメージを同じように感じられるということです。

この「社会的感受性」は、ビジネスの場面でも必要だと言われています。 組織で業務を遂行する場合にも大いに役立つと考えられます。 組織を構成する人たちが、互いに今何をどう考えているか、どうしたいと思っているか、 言葉で事細かく説明しなくても互いが分かり合える状態で、組織の目標達成度を高められ、業務の質も高まるという考え方です。 このような考え方は日本人に向いているのではないでしょうか。 農耕民族は組織立った協働、連携によって成り立っていたので、これを突き詰めていくと、 目標達成のための手段(業務)が共有され、役割分担された組織構成員個々の感受性が研ぎ澄まされ、 今自分は何をすべきかを決めるために必要な「社会的感受性」が養われるのでしょう。

ただの「感受性」ではなく、「社会的」が付くことで組織やチーム、グループ、プロジェクトなどの様々な形態で形成させる人々の集まりには、 個々の信頼関係が必須となります。当然のことですが、互いの信頼感があって初めて「社会的感受性」が生まれるわけです。

さて、介護現場のチームケアは果してこの「社会的感受性」を高めるべく活動が行われているのでしょうか。

今後、さらに求められるチームケアの強化は、単に介護と医療という大きな括り方以外に、 介護事業所内の不必要なヒエラルキーを排除し、一人の要介護者を中心に連携する体制を強化しなければなりません。 それには、その要介護者の介護方針をもとに、関わるすべての職種担当者が、 状態変化やその対処方法などを共有し合うことは言うまでもありません。 その時、チームケアの中心的存在になるケアマネジャーの「社会的感受性」が試されることになります。 勿論、チームを構成する他の職種担当者もチームケアを通じて「社会的感受性」を発揮する機会が必ず増えて行くと考えられます。

2011年8月29日掲載

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