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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

高齢者のセルフネグレクト(自己放任)

『医療や食事を拒み、食べ物やごみを放置する。健康や安全を自ら損なう「セルフネグレクト」(自己放任)と呼ばれる状態の高齢者が、 2008年度に全国で1,528人確認された。 放置すると孤独死や「ごみ屋敷」につながりかねないが、対処が難しく、医療・福祉の課題になっている。 全国調査は初めて。』という新聞記事を見つけました。

帝京大学の岸恵美子教授(地域看護学)らの研究グループが平成21年(2009年)12月~22年(2010年)1月、 全国の地域包括支援センター4,038箇所に調査票を送付し、1,046箇所(26%)から回答を得た結果を集計し分析しました。

日常生活を営む上で当然すべき生活行為をしないことにより、 自己の安全や健康が脅かされる状態を「セルフネグレクト」(自己放任)と定義付けて、 65歳以上の高齢者を対象に尋ねたところ、499箇所の地域包括支援センターで、合計1,528人の該当者が確認できたそうです。 今回の調査では、いわゆるホームレスと言われる人々は対象としなかったので、 日常生活を営む生活の場としての住まいが確保されている高齢者ということになります。

全国調査は今回が初めてと言うことですが、「セルフネグレクト」1500人という数字は、 回答した地域包括支援センターの約1/4であり、同じように他のセンターでも把握できていると仮定すれば、全国に6000人いることになります。

詳しく書かれた調査票の846人を対象に分析した結果、男女ほぼ同数、80~84歳が26%と最も多く、高齢化率の上昇がこの結果にも反映しています。 また、独居高齢者は68%で、一人暮らしであることが、「セルフネグレクト」の要因とも言えます。 しかし、家族と同居は21%で、同居している家族と本人の関係性が気になります。 半数を超える56%は、介護保険の要介護認定を申請していないこともわかりました。 独居であることとの関係もありそうです。 さらに経済状態に「余裕がある」「ややある」が計31%で、経済的に余裕がありながら、 自らの健康や安全に関心を持たなくなっているということなのでしょうか。 20%が精神疾患、44%が糖尿病や高血圧など慢性の病気があったそうです。

地域包括支援センターの保健師や看護師らは通常、このような問題に気付けば、 即座に医療や介護サービスなどを受けるよう勧めるが、「放っておいて」と拒まれることが少なくないそうです。 この調査でも、「支援がとても困難」が、実に42%に達し、「本人が拒む」という理由が47%で最も多かったとのこと。

「セルフネグレクト」の状態にある高齢者は、今後も増え続ける傾向にあると考えられます。 地域包括支援センターが、すでに対応に苦慮している現実を考えると、 国をはじめ行政が積極的にこの問題に取り組む施策を早く打ち出してほしいものです。 居宅介護支援等の「独居加算」などの小手先だけの対応では問題解決に結びつかない現状が浮き彫りになった調査です。

次期法改正では「地域包括ケア」という施策が全面的に推し進められる計画ですが、 独居高齢者、とりわけ要介護状態にある一人暮らしの「放っておいて」に対する具体的な対応方法があるのだろうか、気になります。

2011年5月4日掲載

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