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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

地域包括ケアって何だろう?

本年4月に公表された「地域包括ケア研究会」の報告書に、 「地域包括ケアシステムの構築に向けた当面の改革の方向(提言)」(P37)があり、 「地域包括ケアシステム」を具体的に国の基本原則にするよう求めています。

さて、その提言は三つありますが、その第一番目に書かれているのが、 「(1)地域包括ケアシステムに関する検討部会における提言」です。 国の基本原則にすべきだとしている項目に挙がっているなかで、 「高齢者ケアの原則として ①住み慣れた地域や住居での生活の継続、②本人の選択、③自己能力の活用、 の3点を国として打ち出す」(一部)ことを提案しています。

①にある「住居」とは、自宅だけではなく介護が必要になっても住み続けることが出来る集合住宅も含まれています。 ②の「本人の選択」は、事実上自宅の生活が困難になれば、 本人の選択肢はほぼ一つしかなくなります。「自宅の生活を諦める」という選択肢だけになる可能性があります。

保険者にとって出来るだけ効率よく介護サービスを提供できる仕組み(システム)として考えられたとも受け止められるのが、 この「地域包括ケアシステム」ではないだろうか。

しかも「介護が必要になっても住み続けられることが出来る集合住宅」は、だれがどのように運営するかと言えば、それは民間会社です。 特別養護老人ホームの入居待機者が全国に43万人もいるという現状から考えれば、 42万人が入居している現存する特別養護老人ホームと同じ戸数を、今後何年かけても作っていくことになります。 それは限りなく不可能に近く、非現実的です。 このような現状を踏まえれば、「地域包括ケアシステム」という考え方を提言された国は、その提言通りの施策を進めることになるでしょう。

しかし、本当に当事者である要介護高齢者の方々は、この「地域包括ケアシステム」を望んでいるのだろうかという疑問も残ります。 本年6月に厚生労働省から、介護保険に対するパブリックコメントの集計結果が発表されました。 その内容を見ると、「介護が必要になった場合に、家族に依存しないで生活できるような介護サービスがあるなら自宅で介護を受けたい」という方が46%、 さらに「自宅で家族の介護や介護サービスを利用したい」と希望する方が24%でした。 両者を合わせると7割の方が「自宅」での生活を継続したいと望んでいるのです。

さらにもうひとつの調査結果を見ておきましょう。 平成20年3月に横浜市が行った「高齢者実態調査報告書」によれば、 「介護サービスを利用しながら自宅で暮らしたい」という一般高齢者が51.2%、 「介護サービスを利用せずに自宅で暮らしたい」が9.9%、合わせて6割以上の一般高齢者が「自宅」で生活したいと言っています。 同じ調査結果には、要介護高齢者にも同様の問いを行っていますが、 「在宅介護サービスを使いながら自宅で暮らし続けたい」という方が71.6%と、 圧倒的に「自宅」の生活を望んでいます。

また、「高齢者専用住宅に住み替え在宅介護サービスを受けたい」という要介護高齢者は、2.6%となっています。 まだ介護が必要ではない一般高齢者も、現在すでに介護サービスを利用している要介護高齢者の方も、 「自宅」で暮らし続けいたいという思いを強く訴えている結果が出ています。

地域包括ケア研究会のメンバーである社会的地位が高く、見識の高いと言われる先生方は、これらの調査結果をどう受け止めているのか、 ご意見を賜わりたいところです。 「地域包括ケアシステム」に窺えるねらいは、要介護状態になった高齢者が「自宅」で暮らし続けたいという希望を尊重するものではなく、 「住み慣れた地域」も「自宅」も同じようなものではないかと言わんばかりの強引な考え方で、 「介護が必要になっても住み続けることができる集合住宅」を前面に押し進める気配が感じられます。

なぜならば、この報告書には「在宅」という概念を拡大解釈し、「在宅」とは「現役世代から住んでいた自宅に限定されるものではなく、 介護が必要になっても住み続けることができる集合住宅などに住み替えることも含んだ広義の概念であることに留意が必要である。」と言っています。 「在宅」の概念を広義的な解釈にすり替えて、地域包括ケアシステムを推し進めるのは何のためでしょうか。 介護事業者は、地域で事業展開する地域密着のサービス提供者であり、要介護者の身近にいながら彼らの代弁者としての役割が果たせているのでしょうか。 7割もの方が自宅で介護サービスを利用しながら暮らしたいと望んでいることを、介護に係わる様々な人々が理解しておかなければなりません。 利用者ニーズと国が目指そうとする地域包括ケアシステムとのズレがあるとすれば、介護事業者として何ができるのか、 事業運営の方向性を見定める必要がありそうです。

2010年10月9日掲載

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