介護コンサルティングネット:有限会社業務改善創研|介護コンサルタント福岡浩

介護コンサルティングネットへのお問い合わせ

利用者本位のサービスを実現するために、介護事業運営の仕組みを改善します。

ホームコラム2010年6月のコラム

有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

社会保障審議会介護保険部会資料から読み取ること

5月31日に開かれた『社会保障審議会介護保険部会』(※参照)では、 「介護保険制度の現状について」という参考資料が配布されました。 資料は56ページに及びますが、あくまで統計データ等を用いてまとめた内容です。 これから、半年間、月に1,2度の開催が予定されていますので、 その過程で24年改正法案の骨子が形作られていくことになります。

参考資料「介護保険制度の現状について」を見ながら、改正議論となりそうな論点を探りましょう。

厚生労働省からは議論の基本的な論点として、次の点が示されました。 「サービス体系のあり方(地域包括ケアの実現)」として、

  1. 地域の中での介護サービスの提供(在宅支援の強化、施設の多機能化)
  2. 医療と介護の連携体制の強化(在宅療養の強化、訪問看護の体制確保)
  3. 高齢者の住まいにおける介護サービスの充実、施設の居住環境の向上
  4. 介護職員の資質の向上
  5. 認知症を有する者に対するサービス確保

の5項目を挙げ、また、「持続可能な制度の構築」としては、

  1. 保険料上昇に対する財政的な措置
  2. 介護職員処遇改善交付金(約3,975億円)
  3. 介護拠点の緊急整備(約3,011億円)

となっています。

「サービス体系の在り方」という表現に、 何か大きな見直しの動きがありそうに感じます。 なぜなら、現行の在宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスというサービス体系を、 根本的に「あり方」から議論を展開し、体系を見直そうとしているのではないかと考えられます。 たとえば、「在宅支援の強化」とか「在宅療養の強化」という文言には、 身体介護の充実や医療との連携強化を図ろうとする意図も垣間見えますが、 反面、訪問介護サービスの生活援助をどう取り扱うのかが気になります。

話が少し本題から外れますが、いつのころからか、「在宅」を自宅だけではなく、 「要介護者が生活する場」であるとする解釈を持ち出し、 例えば、「高齢者専用賃貸住宅」のようなものも「在宅」だと言うことになりました。 何かすっきりしない気がしますが、「居宅」でも「在宅」でも、差ほど意味は変わらないとしても、 自宅だけではない根拠が曖昧のように思えてなりません。 42万人の施設入所待機者がいるので、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの 施設サービスの充実を図るだけでは、とても42万人を入所させることは不可能な話です。 「在宅」の解釈を広げて、自宅ではない住まいも「在宅」とするのは、それなりに意味があるのでしょう。

次に、④の「介護職員の資質の向上」については、 前回(平成18年)の法改正前に「サービスの質の確保・向上」という改正の方向性が示されていました。 同じような意味でありながら、今回は表現を変えたのはなぜだろうか、少々疑問が残ります。 「サービスの質の確保・向上」のためには、「介護職員の資質の向上」は必須項目です。 そのために「介護職員処遇改善交付金」もバラまきました。 しかし、その結果、サービスの質は向上したのでしょうか。

⑤の「認知症を有する者に対するサービス確保」に関しては、 前回の法改正で始まった「地域密着型サービス」がどの程度、効果をあげているのか、その検証が必要です。 小規模多機能型居宅介護や認知症対応型通所介護、 認知症対応型共同生活介護などのサービスの充実度はどのレベルに達しているか、 わかりやすい評価を期待したいところです。

 
前回の法改正では、「2015年の高齢者介護」(2006年高齢者介護研究会)で、 当時の現状の課題を分析した項目が改正案に反映され、 4つの制度改正の方向性
(①予防重視型システム、②地域で支える介護、③施設給付の見直し、④サービスの質の確保・向上)がどうなったか、 ということです。 この5年で、上記の4項目は改正法によってどの程度の効果があったのか、 一般国民にわかりやすい形で検証していただきたいものです。

予防重視型システムは本当に効果をあげているのか、 地域で支える介護、いわゆる「地域密着型サービス」や「地域包括支援センター」は十分に機能してきたのか、 サービスの質の確保・向上のために制度化した「介護サービス情報の公表」の効果はどうなっているのか。

デイサービスでは、介護予防サービスの利用者と介護サービスの利用者を 明確にわけてサービスを提供している事業者は少ないのが現状です。 これで本当に介護予防サービスの効果が期待できるか疑問が残ります。 地域密着型サービスである夜間対応型訪問介護や小規模多機能型居宅介護の普及が遅れている背景には 様々な問題がありそうですが、次期法改正では見直しが行われ、改善が図られるのでしょうか。 また、地域包括支援センターの地域格差が生じている問題や地域を十分に把握できないセンター、 三職種の人材が安定しないセンター、 地域の介護事業者、医療関係者との連携が限られた範囲に留まっているセンター等々、課題は山積します。 サービスの質の確保・向上のための施策としては、事業者の指定更新制や介護サービス情報の公表などによって、 どの程度の効果が得られているかはその測定が難しいと言われています。 事業者の指定更新制が導入されたことによって、本当にサービスの質が向上したのか、 また、介護サービス情報公表センターのホームページへのアクセス件数だけでは、 その効果を判断できないが、その効果をどう測定するのか。

24年の第2次法改正には、その後の「2015年問題」を 問題なく乗り切れる制度になっていてほしいと願うばかりです。 介護保険サービスは、PDCAサイクルを事業運営に仕組んでいるとされていますが、 国も介護保険制度そのものの運営について、PDCAサイクルを運用してほしいと思います。 5年ごとの法改正が、計画されて実際に運用され、その結果を検証するのが、今の時期です。 検証結果によって、次期改正のポイントが明確になります。

2010年6月21日掲載

※社会保障審議会介護保険部会(部会長:山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授)

『介護給付費分科会』が主に介護報酬に関する審議を行う会であるのに対して、介護保険部会は介護保険制度そのものについての審議を行う会です。 24年の改正法施行に向けて今後は、次期通常国会(平成23年1月開会)における介護保険法改正案の提出のために、 月1~2回程度開催、介護保険法の見直しや改善を行うべき点を議論し、11月をめどに部会の意見の取りまとめを行う予定です。
このエントリーをはてなブックマークに追加

「介護コンサルタント福岡浩のコラム」の先頭に戻る

『有限会社業務改善創研』の事業案内

健全な介護事業運営のために

(1) 中小介護事業者の事業運営コンサルティング・サービス

  1. 事業の内部及び外部環境調査に基づく業務改善提案、その実施支援
  2. 事業計画立案支援及びその運用指導、支援
  3. 事業拡大の中長期的事業計画策定指導、支援
  4. その他、日常業務における問題解決援助
  5. 県の「実地指導」対策指導、支援

(2) 事業所スタッフの研修

  1. 訪問介護員(ホームヘルパー)初任者研修の立案、実施指導、支援
  2. サービス提供責任者の業務指導、支援
  3. その他

(3) ISO9001認証取得の支援業務及び取得後の定着支援業務

(4) 中小介護事業者の組織化と情報交換、勉強会、各種セミナー等の企画、実施

有限会社業務改善創研の連絡先

所在地:〒232-0067横浜市南区弘明寺町196

電話:045-873-9721【不在の場合は携帯電話に転送されます】

携帯電話:090-3514-7242

メールアドレス: gks_hfukuoka@yahoo.co.jp