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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

「介護サービス情報公表」の調査について

本年度は、4年目になる「介護サービス情報の公表」調査ですが、厚生労働省のシステム不具合が相次ぎ、 例年より大幅に調査の開始時期が遅れました。 11月から始まった調査は来年3月末まで続くようです。 今年から大きく変わった点は、調査員が1名となったことや調査料や公表手数料が減額されたことです。 また、神奈川県では、一昨年から調査記入マニュアルを作成し、 「確認のための材料」の解説を文書化していますが、本年度はその解釈に一部変更がありました。

この制度には、当初から周知徹底が不十分であり、制度そのものの目的を理解していない事業者が多く、 その要因は都道府県の周知が徹底されていなかったことも大きいと考えられます。 今年も春先の集団指導の際に事業者への周知を図ったようですが、 事業者に十分に理解されているかどうか疑問です。 集団指導における説明とは、単に紙に書かれた資料(周知文)を読み上げる程度であり、 「後は良く読んでおいてください」という決まり文句で説明が終わります。

さて、この調査には様々な賛否両論があり、とりわけ事業者側の不満や反対意見が多く聞かれます。 例えば、
①毎年実施する必要がないのでないか、
②公表制度があまり利用されていないのではないか、
③準備と調査当時の時間がかかり過ぎるのではないか、
④調査員が介護サービスの現場を良く分かっていないのではないか、
⑤指導、監査などと同じようなもので、重複しているのではないか、などなど。

①については、確かに毎年実施する必要性があるのかと言われれば、 基準にしたがって通常の事業運営を行っている事業者にとっては不満になる点だと思います。 しかし、多くの事業者にとって、年に1回は公表の調査をよい機会と捉えて、 1年間の振り返りを行うことが大切です。 記録や書類が形式的に整っていても、実際の事業運営や介護サービス提供が利用者本位に行われていなければ、 介護サービス情報の公表制度の意味もなくなります。 事業者自ら運営状況をありのままに公表することで、 公表制度がもっと活用されていくのではないかと思います。

②は、公表されている情報の利用頻度や利用の仕方を問題としています。 制度創設から4年目を迎えていますが、 公表されている内容をもっと見やすくすることや簡単に見ることができるようにすることも重要です。 各都道府県に設置されている公表センターのホームページは、 要介護者が見ることはほとんど不可能のように思われますが、 実際には、その家族やケアマネジャーが活用しているのではないでしょうか。

③の準備に時間がかかることや調査そのものにかかる時間は、ある程度止むを得ないのではないでしょうか。 ただし、調査のための準備とは、始めからない書類を作成するとか、 やってもないことの記録書を書くとか、不正行為に当たる準備は好ましくありません。 元々事業運営の過程で必要な記録類を正しく残し、書類が整っていれば、 準備にかかる時間はそれほど必要がないと考えられます。

④は、調査を受ける事業者側の感情としては理解できます。 そもそも、この制度の調査は監査や実地指導とは違い、事実の確認作業ですので、 介護現場の経験がなくても問題がないとされています。 当初、調査員は公募された一般市民と介護や福祉の業務に携わった、 いわゆる実務経験者がともに所定の研修を受講して両者の二名体制で調査が行われきました。 今年から、法改正により調査員一名以上となったことで、事実上二名体制ではなくなりました。 一人で調査を行うことになり、最も懸念されることは調査そのもののバラツキであり、 その原因は調査員の判断基準のバラツキでもあります。 そのために調査機関では、月1回の研修を強化しています。

⑤については、先にふれたように公表の調査は、 都道府県が指定権者として行う実地指導や監査とは全く趣旨も目的が違います。 事業者が介護サービス情報の公表の目的や制度創設の経緯などを十分に理解していないために感じる疑問の一つでもあります。 公表の調査で確認しようとしている項目は、 確かに実地指導や運営状況報告書に記載している内容と同じ項目もありますが、 調査の目的は公表する事業者情報が利用者やその家族が事業者を選択するために必要であり、 事業者ごとに共通した項目で公表することです。

介護サービス情報の公表は公的な制度である介護保険制度において、 必要なものと考えるか、調査そのものが鬱陶しく面倒なものと考えるかは、 介護事業経営者次第です。 従って、利用者本位に考えれば、自ずと答えが出るのではないかと思います。

2009年12月28日掲載

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