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介護コンサルタント福岡浩のコラム

「日本人が苦手な自己アピール」

仕事柄、様々な介護事業者をはじめ介護施設を拝見する機会が多く、また、そこで働く職員や管理者の皆様から色々な情報を提供していただいています。 現場の声は、時として管理職や経営者の方々のお話より興味深いものもあります。 よくあることですが、経営者がおっしゃることと現場の方々が言っていることがかなり違っている場合もあります。 経営者は自社(自事業所)の素晴らしさを一生懸命にアピールしますが、 時には「本当かな?」と思うようなこともあります。 自己アピールで共通しているのは、程度の差はあっても良い点の羅列に終始することです。 稀にその介護事業所、介護施設の課題をあげて、その改善に向けて取り組んでいる状況をお話されることもあります。 自ら事業所や施設をアピールしたり、ピーアールするには、どんな方法があるのでしょうか。

最近では、独自の季刊誌や小冊子を発行したり、ホームページを開設する事業所も増えています。 その目的は宣伝、広告であることは言うまでもありません。 特にホームページを新設する介護事業者が増えているのは、 『介護サービス情報公表制度』の公表の項目にホームページの有無があり、 「ホームページがあった方が良いのではないか」という事業者の思惑が働いているのではないかと推測します。

しかし、どのホームページを拝見しても、失礼ながら「帯に短し襷に長し」と言った印象です。 あった方がいいから、取り合えずホームページを作成したというものから、 色々と自社(事業者)をアピールしようと苦心している様子が窺えるものまで様々です。

さて、表題の『日本人が苦手な自己アピール』とは、 正に介護事業所や介護施設の自社(自法人)アピールの方法にも通じる課題です。 なぜ、日本人は自己アピールが苦手なのでしょうか? その原因の一つは、日本人がもつ独特の曖昧さによる「分かってくれるだろう」という気持ちがあり、 言葉よりも行動や態度などで理解できるだろうという思い込みがあり、 それがいつしか心理的に拡大しているのかも知れません。 曖昧にすると便利なことが多いし、 美意識としての奥床しさや慎ましやかなどといった言葉に象徴される行動様式が根底にありそうです。 最近の若い人たちは、自己主張が上手になったとは言っても、ディベートはまだ初歩の領域です。 ひとたび、自己アピールが必要になっても思うようにできないのは、前述のような背景があると考えられます。

その上、別の視点から考えてみると、事業者側の独り善がりのアピールになってしまい、 顧客の視点、利用者の目線で自社(自事業所)を客観的に見られなくなっているのではないでしょうか。 勿論、「利用者の目線で考えています」と反論される方もいるでしょうが、 「利用者の目線で考えるとはどういうことですか?」とお聞きしても、すぐに明確な答えが返ってきません。 自己アピールには、客観的な自己分析が必要です。 顧客として介護サービスを利用していただいている利用者や家族に、 「なぜ、当社を選んだか、当社のどの部分を重視したのか」等々、 アンケートやヒアリングが十分に行われず、調査集計がシステム化されていないのが現状です。

結論的に申し上げれば、自己アピールが苦手なのは、自己評価が不十分だからということでしょう。 勿論、苦手だと自覚していれば、未だしも苦手という意識がない場合がほとんどです。 自己アピールとは、奥床しさを止めて『自己開示力』をたかめることであり、 いかにわかりやすく伝えられているかが重要です。 アピールという言葉を聞くと、すぐに自分たちの長所や利点だけを盛り沢山に強調しようと考えます。 「よく見せよう」と考えるのではなく、「ありのままを伝える」と考えた方が自然で、 むしろ伝わりやすいと思います。

前述の『介護サービス情報公表制度』の公表内容も、すべての項目にチェックがあるからといって、 その介護事業者が優れているとは限りません。 ある事業者のホームページに「利用者第一主義」とか、 「お客様本位のサービス」とかいう文字が躍っている一方で、 そのトップページに「介護職員急募」の大きな文字が目に入ります。 要するに「利用者第一主義」だというなら、 そのためにどんなことをやっているのか説明する必要はないのでしょうか。 「利用者第一主義」を掲げる根拠を明確に示すことが、自己アピールの第一歩ではないでしょうか。

2009年3月11日掲載

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