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2008年10月のコラム
老年内科、老年科の必要性

先日、千葉県銚子市の市立病院の閉鎖が、新聞やテレビでも報道されましたが、地域社会の医療体制が崩壊する瞬間を見せつけられ、身近な問題として受け止めなければならないと感じました。

市は、「病院の赤字経営が続けば自治体の崩壊に繋がるという理由で病院閉鎖を決定した」と言い、市民は、「例え赤字でも、医療は重要な行政サービスなのに閉鎖するのは不当だ」と、市を訴える動きもあるようだ。 銚子市と同様の問題は、地方のあちらこちらで起こっている現実があり、厚生労働省の厚生行政の失策、無策と言わざるを得ません。

介護保険の利用制限が進む中で、医療体制が崩れると、そのしわ寄せはすべて高齢者に行きます。 やっと医師不足を認めた大臣が、『認知症の生活と医療の質を高める緊急プロジェクト』で提言された内容を どこまで実現できるか。「医療と介護の連携」と言う前に、安心できる安定した医療体制と、 財政的な裏付けのある介護保険制度の確立なくして、連携は夢物語になってしまいます。

最近読んだ本で、老年科や老年内科という診療科目があることを知りました。 以前から老人専門医や老人専門の診療科目があってもよいのに、なぜないのだろうと思っていました。 実際に、ある大学病院では老年内科、老年科という名称で診察しているそうです。 しかし、そのような病院があることすら知られていないほど、数は少ないようです。

成人とは違った病気が数多くあるので、子どもを専門に診る『小児科』があり、 女性特有の病気があるから『産婦人科』がある一方、 その他の診療科目の大半は一般成人を対象としていると考えられます。 ところが、高齢社会にあって高齢者を専門に診る医師や診療科目がなく、 その専門性を確立しようとする動きがほとんどない状況に疑問を感じているのは、私だけではないと思います。 たまたま、診ている患者に高齢者が多いという内科の医師は、 必要に迫られて老人特有の病気やその症状に詳しくなるとしても、専門分野として体系化されているとは思えません。 一部の医師が大学病院で老年内科や老年科という診療科目で診察しているようですが、 小児科や産婦人科と同じくらいの数の診療所が地域にあっても良さそうに思います。 高齢者の多くは、かかりつけ医として地域にある内科や整形外科の開業医に通院していますが、 そこで充分に早期診断、早期治療が行われているのか疑問が残ります。 私が知っている内科の医師も、高齢者の患者には「もう年だからしょうがない」というのが口癖だそうです。 すべてを年齢のせいにすれば、正しく診断、治療するという医師としての使命が損なわれているようにも感じます。

成人と同じ病気であっても、高齢者には違った治療方法や薬の処方箋があるべきだと、素人ながら思います。 さらに高齢者であっても、個別性を考慮する必要性がありそうです。 長年の生活習慣や生活環境、体質等によっても治療方法に差があるのではないでしょうか。 私は医師でもないし医学的専門知識があるわけではないので、あまり行き過ぎた見解を述べることはできません。 しかし、高齢者を専門的に診る老年内科や老年科という診療科目が早期に確立され、 地域で高齢者の健康を支える医療体制を整備する必要性を強く感じています。

少子高齢社会と叫ばれながら、小児科医や産婦人科医が減っていることが問題になっていますが、 その上、高齢者を専門とする老年科なる診療科目も普及しなければ、少子高齢化が益々進行し、 人口減少がさらに加速化するのではないかと心配になります。

2008年10月4日掲載

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